家選びは人生選び。わが家の場合は、その前に「転勤を続けるか」という選択がありました。
転勤なしへの変更後、私の額面年収は約800万円から約700万円へ下がる見込みで、月5万6,000円分の社宅の会社負担もなくなりました。こうした変化を見据えて、2025年9月に買ったのが、福岡にある約5,500万円の中古戸建てです。
数字だけ並べたら、「ちょっと待て、電卓持ってくるわ」と言いたくなる話やと思います。私も、気合いだけで住宅ローンを組んだわけではありません。
家計簿で収入減と住居費増を試算し、共働きなら毎月の黒字を保てること、購入後も資産を残せることを確認して決めました。
ただ、住み始めてから331万円の車購入という想定外もありました。この記事では、全国転勤をしていた私が転勤なしを選んだ理由、家を買う前に考えたお金、今の暮らしの本音をまとめます。
収入・家計・資産は2026年9月27日時点の私の記録・概算です。年間見込みと実績を分けて記載しています。社内制度は私の勤務先での体験です。
転勤を楽しんでいた私が、家族の「居場所」を考え始めるまで

独身時代は全国転勤も楽しみだった
私は全国転勤のある商社へ入社し、東京・千葉・大阪・福岡での勤務を経験しました。就職活動の頃は、いろいろな土地で暮らせることを前向きに捉えていました。新しい街や食べ物に出会え、社宅制度のおかげで家賃負担も抑えられる。独身の私にとっては、魅力のある働き方でした。
でも、妻と子どもがいると、引っ越しは自分の荷物をまとめれば終わる話ではありません。保育園、妻の仕事、子どもの友達、病院探し。家族全員の生活を組み直す必要がありました。
大阪から福岡へ。4歳の長女が選んだ家族との暮らし
2023年、第二子の誕生に向けて夫婦で育休を取りたいと考えていた時期に、大阪から福岡への転勤辞令を受けました。家族を伴う引っ越しは、独身時代の10倍以上大変だったと感じています。
当時4歳だった長女は、友達との別れを悲しみながらも、パパと離れる方が嫌だという気持ちで福岡へ来てくれました。その後は福岡で友達ができ、妹をかわいがるお姉ちゃんになりました。
子どもが新しい環境に慣れてくれたのは、ありがたいことでした。ただ、子どもの切り替えの早さに、親が何度でも甘えてええわけではない。転勤は私だけの問題ではないと、強く感じるようになりました。
転勤なしを選んだのは、夫婦とも働き続けるため

会社には、営業へ職種変更した場合、3年後に元の物流職へ戻る制度がありました。私は2026年に物流へ戻る約束で、そのとき再び勤務地が変わる可能性を高く見ていました。
転機は2025年4月。会社から、翌2026年4月に転勤あり・なしの職掌のルールを変更するという案内がありました。妻と話し合い、その月のうちに転勤なしへ進むことを決め、5月に上司へ意思を伝えました。
| 時期 | わが家の動き |
|---|---|
| 2023年 | 大阪から福岡へ家族で転居 |
| 2025年4月 | 制度改定の案内を受け、妻と転勤なしへの変更を決断 |
| 2025年5月 | 上司へ意思表示 |
| 2025年9月 | 福岡で中古戸建てを購入 |
| 2026年4月 | 転勤なしの職掌へ変更 |
自分の年収だけでなく、世帯全体で考えた
上司へ伝えた理由は、夫婦とも今の会社で働き続けられる環境を守りたい、というものでした。
当時、次女が保育園を卒園するまでまだ5年ありました。転勤先ですぐに保育園へ入れるとは限らず、夫婦のどちらかが仕事を辞める可能性もある。私は単身赴任を選択肢として考えていなかったため、家族で移る場合の影響を重く見ていました。
私の年収が下がるのは痛い。でも、転勤で共働きを続けられなくなる場合まで考えると、私一人の給与だけでは判断できません。転勤なしは、家族の生活と共働きを守るための選択でもありました。
手続き自体は社内申請システムで数回操作する程度でした。決断の重さに対して、操作は拍子抜けするほどあっさり。人生の大きな選択も、最後はクリックなんやなと思います。
年収約100万円減の見込みでも、家を買えると判断した根拠

給与の減少と社宅の終了は、分けて考えた
前年の源泉徴収票の金額は約800万円。今年の年間見込みは、基本給約450万円に賞与・残業代約250万円を合わせた約700万円です。約100万円減は、年間の確定実績ではなく見込みです。
| 項目 | 変更前・購入前 | 変更後・購入後 |
|---|---|---|
| 私の額面年収 | 前年の源泉徴収票:約800万円 | 今年の年間見込み:約700万円 |
| 社宅の会社負担 | 月5万6,000円 | 転勤なしへの変更に伴い終了 |
| 毎月の住居費 | 社宅の自己負担:月2万4,000円 | 住宅ローン:約13万円 |
| 持ち家の固定資産税 | ― | 年約24万円 |
以前は家賃8万円の社宅に、自己負担2万4,000円で住んでいました。会社が負担する差額5万6,000円は、私の源泉徴収票の約800万円には含まれていません。現金でもらう家賃手当ではなく、社宅としての支援でした。
これを12か月分にすると67万2,000円。ただし、社宅を出た後の住居費増と、なくなった会社負担を重ねて足すと二重計上になります。わが家の家計簿では、変更後に実際に払う住居費を入れて試算しました。
家計簿で月10万円の黒字を見込めた
一番の根拠は、それまでの家計簿でした。収入が減り、社宅の支援がなくなり、物件購入で住居費が増える。その条件を入れても、共働きなら賞与を除いて月約10万円の黒字を見込めたため、問題ないと判断しました。
夫婦合計の年間賞与は、おおよそ額面320万円。毎月の生活費の赤字を賞与で埋めなくてもよい見通しでした。もちろん額面320万円がそのまま手元に残るわけではないので、月の黒字と足して「年間440万円貯まる」といった計算はしていません。
頭金とリフォーム費用を払っても、資産3,000万円以上を残せた
物件購入時には約3,700万円の資産がありました。頭金やリフォーム費用を払っても、3,000万円を下回らない水準で残せることも大きかったです。ここでいう資産は、現金だけという意味ではありません。
「買えるか」だけでなく、「買ったあとに毎月いくら残るか」「まとまった支出のあとにどれだけ資産が残るか」を、両方確認しました。私たちが決められたのは、この家計と資産の前提があったからです。
ローンの組み方は、5,500万円の住宅を47年ローンで購入した記事で詳しくまとめています。
5,500万円の中古戸建てを買い、福岡で暮らすと決めた

2025年9月、福岡で約5,500万円の中古セキスイハイムを購入しました。転勤なしを選ぶことと家を買うことは、私たちにとって、家族の生活基盤をここにつくるという一つの流れでした。
長女自身も「ここがいい」と選んだ家です。ただ、それまでの小学校とは学区が違い、転校が必要になりました。前の友達にまた会える距離だったこともあり、大阪から福岡へ移ったときより前向きに受け止めてくれていました。
それでも、最後の学童からの帰り道では大泣きしました。その姿を見て、私は「これで最後にしよう」と心から思いました。
子どもが気に入った家を買えば、別れの寂しさが消えるわけではありません。家を買う喜びと、生活の場所が変わる負担は、両方ありました。
家そのものの購入理由や住んだ本音は、築13年の中古セキスイハイムを買った本音レビューにまとめています。
想定外だった車331万円。それでも月10万円の黒字は維持

転勤なしでも、部署の異動で車が必要になった
家計の試算はしていましたが、すべてを読めていたわけではありません。異動に伴って車が必要な部署になり、中古のZR-Vを331万円で一括購入しました。これは、住宅購入時にはまったく予想していなかった出費です。
想定外の出費、登場の仕方がラスボスなんよ。しかも331万円。
移動距離が非常に長かったので、事故防止を支援する機能を重視しました。それに、乗っていてモチベーションが上がる車がよかった。必要性と自分の好みの両方を考えて選びました。一括購入なので、車のローンはありません。
ガソリン・高速代は、交通費支給を引いて月約4万2,200円
| 項目 | 月の金額・計算 |
|---|---|
| ガソリン代 | 約24,000円 |
| 高速代 | 1,380円×2(往復)×20日=55,200円 |
| 合計 | 約79,200円 |
| 会社からの交通費支給 | 約37,000円 |
| 差し引き自己負担 | 約42,200円 |
この自己負担を払っても、月10万円の黒字は維持できています。ただ、正直なところ、もっと余裕を持って試算したつもりで、月15万円以上は残ると思っていました。黒字ではある。でも、ガソリン代と高速代はきつい。この両方が本音です。
月10万円の黒字はNISAへ。iDeCoと合わせて月14万円を投資
月10万円というのは、夫婦それぞれ月2万円、合計4万円のiDeCoを拠出したあとに残る金額です。その10万円をNISAでオルカンへ回し、iDeCoでは夫婦ともS&P500に投資しています。
- iDeCo:夫婦合計で月4万円
- その拠出後の黒字:約10万円をNISAへ
- 毎月の投資:合計14万円
つまり、14万円投資したうえで、さらに10万円が現金で残っているわけではありません。そこまで余ったら、私の家計簿ももうちょっと陽気な顔をしていると思います。
車代331万円を払ったあとも資産は3,000万円以上残り、2026年9月時点では約3,650万円になっています。ただ、入金分と運用による増減を分けた数字ではないため、投資だけで増えた金額としては扱っていません。
住宅購入を決めたときの根拠は、あくまで当時の家計簿と残せる資産でした。その後の資産増を、購入時から当てにしていたわけではありません。
転勤なしとマイホームで、仕事も休日も落ち着いた

次の転勤におびえず、今の生活を考えられる
転勤なしを選んで大きかったのは、「次はどこへ行くことになるんやろ」という不安から解放されたことです。幼い子どものいる先輩が遠方への転勤を命じられた話を聞くと、今でも自分のことのように感じます。
仕事でも、以前ほど「絶対に高評価をもらわなければ」と肩に力を入れなくなりました。上を目指す気持ちはあっても、会社の評価だけが人生の点数ではないと思えるようになりました。
上司に意思を伝えた当時は、子育てが一段落すれば転勤ありに戻すことも考えていました。でも今は、戻るつもりはありません。今の生活を手放して単身赴任する未来が、自分には見えないからです。
家で遊べるから、外出が義務にならなくなった
家を買って感じた落ち着きには、家の中でできることが増えた影響もあります。以前は家にいても、遊びがゲームやYouTubeに偏りがちでした。そのため、外に出なければという感覚がありました。
今は子どもが自分の部屋でおもちゃを好きなだけ広げられます。トランポリン、家の中でのかくれんぼ、カラオケ。家で楽しめる選択肢が増えました。
外へ出かけるのも楽しい。でも、出かけない休日も楽しい。家にいることを悪いことのように感じず、落ち着いて過ごせるようになったのは、大きな変化です。
定住を決めたことで、ご近所や地域とのつながりも意識するようになりました。家族が暮らす場所に、私も関わっていきたいと思っています。
地域との距離感は、中古戸建てのご近所付き合いの記事でも紹介しています。
転勤族が家を買う前に、私なら整理する3つのこと

私が転勤なしと住宅購入を選んでよかったと思っていても、それが全家庭の正解になるとは考えていません。私たちには、共働きの収入と購入後に残せる資産がありました。勤務先の制度も、家庭の希望も人それぞれです。
1.家族として何を守りたいか
わが家では、家族で暮らすこと、子どもの生活基盤、夫婦とも働き続けられることを大切にしました。収入や出世も含め、まず家族の優先順位を言葉にしておくと、選択の理由を見失いにくいと思います。
2.会社の制度が変わると、家計はどうなるか
私の経験では、年収の差だけを見ると、社宅がなくなる影響を見落とします。給与、賞与、社宅、通勤費などを分け、今の家計簿に変更後の条件を入れてみることが役立ちました。制度の対象や適用時期は、自分の勤務先で確認する必要があります。
3.大きな出費のあとにも、余力が残るか
家だけで終わると思っていたら、わが家には車代331万円が待っていました。想定外の中身までは読めなくても、大きな支払いのあとにどれだけ資産が残るかは、確認しておいてよかったです。
同時に、月10万円の黒字を維持できていても、体感として楽とは限りません。数字上の収支と、自分たちが感じる負担の両方を見ながら暮らしています。
妻の「いい家だなぁ」で、買ってよかったと思えた

年収は約100万円減る見込みで、社宅の支援もなくなりました。住宅購入後には、予定していなかった車の購入と交通費の負担も増えました。
それでも、家族で今の生活を続けられることに、私は満足しています。家計簿の黒字も大切ですが、暮らしてみて初めて分かった良さもありました。
子どもたちが2人で、家の中を追いかけっこしていたときのことです。妻がふと、こんな言葉をこぼしました。
「いい家だなぁ」
その言葉を聞いたとき、私は家を買ってよかったと思いました。
自分の人生の居場所をつくるために。転勤なしを選び、この家を買った理由を一言で表すなら、今もこの言葉です。

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